近年、自動車もバイクも電動化の流れが来ています。主な理由は環境問題に配慮して(排ガス規制対応)ということかもしれませんが、家庭で充電できたり、モーターの特性によって低回転域からパワフルな加速力を得られたり、電動ならではのメリットもあります。
といっても、バイクは特にまだまだガソリン車が多いのが現状で、ぶっちゃけ電動バイクってどうなの?って思われている方も多いと思います。
そこで今日は、
- 電動バイクに乗る為に必要な免許区分は?
- 電動バイクに乗るメリットは?
- 車体の価格や維持費は?
という点について調べてみました。
電動バイクと免許区分
電動バイクは排気量という概念がないため、定格出力という概念で考えます。
出力というのは回転数×トルクで表される指標で、数値が大きいほど高回転かつ高トルクが出ている、すなわち高速域でもスピードが伸びるということになります。
モータの定格出力というのは、そのモータを連続使用するときに安定して引き出せる出力なので、数値が大きい方が安定して得られるパワーが大きい(ガソリンエンジンでいう高排気量に相当する)と考えられます。
で、その定格出力と免許区分の関係が下記になります。
定格出力 | 免許区分 |
〜0.6kW | 原付一種 |
0.6〜1kW | 原付二種(小型二輪) |
1kW〜 | 普通自動二輪(軽二輪) |
20kW〜 | 大型自動二輪 |
多くの人にはあまり馴染みのない指標だと思うので、上の表が妥当なのかあまりピンと来ない…という方のために、参考として、CB125R, CB250R, CB400のおおよその性能曲線(諸元表から読み取れる範囲だけを数値化し、中間域は線形補間したもの)下記に示します。
電動バイクの軽二輪は定格出力1kW〜20kWなので、これを上の図と照らし合わせてみます。
例えば定格出力19kWの電動バイクはギリギリ軽二輪に分類されますが、これは排気量250ccのバイクの最大出力相当を出し続けることができるわけなので、まぁ20kWの線引きは妥当なところなのかなと思います。
一方で、定格出力0.6〜1kWの電動バイクは原付二種扱いになるわけですが、125ccのエンジンの出力特性と比較するとかなり低い値のようにも見えます。ただモーターはエンジンと違って低回転から高いトルクを出せるので、低回転から加速するときだけ高いトルクを使って、スピードが出たら速度が維持できる程度の低トルクしか使わない、という使い方だけであれば定格出力が必ずしも高い必要はないため、この線引きなのかもしれません。
電動バイクのメリット
さて、ではそもそも電動バイクに乗るメリットは何か?ガソリン車と比較して何がいいのか?ということについてまとめてみます。
維持費が安い
まず動力源が電気なので、ガソリン代の代わりに電気代が発生するわけですが、走行距離1kmあたりで考えると電気代の方が安くなるようです。
例えばヤマハのE-vinoをフル充電するのにかかる電気代は14円程度で航続距離が29kmなので1kmあたりにすると0.48円。一方で、vinoはガソリン代を140円/Lで計算すると、カタログ燃費で80km/Lであるから1kmあたり1.75円。つまり半分以下のコストになります。
加速力が高い
先にも少し書きましたが、モーターは特性上、低回転から高いトルクを発生させられます。
つまり、発進時などの加速力がエンジンよりも高いのです。このことは、発進や停車が多い街乗りで特に重宝します。
ガソリンスタンド以外で充電できる
ガソリン車の場合は、燃料を充填できる場所が限られていましたが、電動の場合は家庭でも充電可能です。よっていちいちガソリンスタンドに行かなくても済みます。
車体がコンパクトで、持ち運べるものもある
出力にもよりますが、動力源であるモーターはエンジンと比較して小型なものも多いので、車体もコンパクトで軽量であることが多いです。もちろん原付くらいのサイズのもありますが、下記のように折りたたんで持ち運べるものもあります。すごいですね。
電動バイクのデメリット
メリットも沢山ある電動バイクですが、デメリットもあります。
充電に時間がかかる
頻度が高いほどこれって死活問題なのでは…という気もしますが、バッテリの充電に3時間程度かかるようです。ガソリン車だとせいぜい2〜3分で満タンに出来てしまうので、さくっとフル充電していくというのはどうやら難しそう。
予備バッテリーを買っておくというのも手かもしれませんが、いかんせんバッテリーは価格が高いのであまり経済的な方法ではないかも。
ちなみに、上で紹介した電動バイクのバッテリーで約4.5万円ほど。
航続距離が短い
上でも具体的な数字を書いているのでお気づきかもしれませんが、航続距離はガソリン車と比較して圧倒的に短いです。なので、長距離のツーリングには向きません。充電時間もかかりますしね。(そう思うと某番組すごいな)
なので、街乗りの足として使用する分にはいいですが、ツーリング用にするには不向きかと思います。
車種や価格について紹介
さて、購入を検討するとき気になるのが車体価格。

いくら維持費が安くても、ガソリン車と比べてめっちゃ高かったらあんまり嬉しさないですよね…。
ということで、いくつか車種紹介を兼ねて見てみます。
BLAZE スマートEV
まずはブレイズというメーカーから出ている、持ち運べるタイプのバイク。楽天で約18.5万円くらい、メーカー直販だともう少し安く買えそうです。
総重量18kgということで、自転車とそう変わらないのがすごいですね。1回の充電での航続距離は30km程度ですが、この携帯性でこれだけ走れば十分かもしれませんね。
XEAM niu
お次は従来の原付に近いデザインのバイク。XEAMというブランドのniuというモデルです。
価格は約23万円。ポップなデザインがいいですね。軽量ながら航続距離も70kmと、移動の足として十分使えうる性能です。バイクで回生ブレーキを搭載してるってのもすごいですね。他にもキーレスだったりちゃんとディスクブレーキだったり、何気に機能面が充実してます。
これは原付一種のクラスですが、上位モデルとして原付二種モデルもでています。こちらは約30万円ほどで、普通にガソリン車のスクーターとあまり変わらない価格ですね。
ちなみに、このXEAMというブランド、最近色んなモデルを出しているのでけっこう個人的に気になっています。
別記事にまとめたのでそちらも見ていただけると嬉しいです。

YAMAHA E-Vino
某番組でおなじみのヤマハ e-vinoは定価で24万円。ガソリン車のモデルと比べると4万円程度高価にはなってます。
航続距離も30kmということで、上記のモデルと比較するとあまり長くはありませんが、定格出力をみると上記の2車種よりもパワフルなようです。また、国内メーカーということで安心感はありますね。
ということで、原付1種相当の電動バイクを見ると、おおよそ20万円前後が車両価格の相場と言えそうです。
そう考えると、原付を新車で買うのと電動バイクを買うのは大差ないような気がしますね。
まとめ
さて、以上をまとめるとこんな感じ。
- 電動バイクの免許区分はバイクの定格出力によって決まる。原付以上は必須
- ガソリン車よりも電動バイクは維持費が安い
- 車体価格もガソリン車と大差ない
- しかも軽量で持ち運べるものもある
- ただし充電時間が長く、航続距離も短い
したがって、通勤通学など、街乗りの足として使う分にはかなりコスパいいんじゃないかと思います。
都市部は特に、駐車スペースに困ったり渋滞したりという悩みも多いと思うので、足として使えればかなり重宝するのではないでしょうか。