前回に引き続き、下記の本の概要および読んだ所感を書いていきます。
前編では、ノイズトレーダーとスマートマネーという2種類の投資家がいること、スマートマネーになるにはリスク管理をしながら投資していくことが大事ということを書きました。
後編では、具体的なプロセスについて書いていきます。
銘柄の選び方
長期的にみて値上がり益を得るには、持続的に成長する企業の株を買うことが重要です。
そのためには、企業の業績などから現在株価が適切かどうか評価し、それに基づいて銘柄を選んでいく必要があります。
この本では株価評価の標準モデルとして簡便法、ゴードン成長モデルについて触れていました。
簡便法
企業の利益のうち、当期利益を発行済み株式数で割った指標としてEPSというものがあります(要は1株当たりの利益)。一般にEPSの伸び率が高いほど株価上昇率は高く、長期ではEPSと株価は同じように推移します。
また、株価をさらに1株当たりの利益で割ったものをPERといいます(1株当たりの値段÷1株当たりの利益なので、株価の収益率)。PERが高いほど利益に対して株価が割高になります。
簡便法では、次期のEPSとPERを予想することで(過去の平均値を用いることが多い)、予想株価の計算を行います。
ゴードン成長モデル
ビジネススクールでよく用いられる株価モデルだそうです。
配当\(D\)、配当成長率\(G\)、割引率(金利+リスク・プレミアム)\(R\)を用いて、株価\(P\)を
$$P=\frac{D}{R-G}$$
と表します。
配当成長率が\(G\)であるというのは、配当が\(D,D(1+G),D(1+G)^2,\cdots\)と期を追うごとに増えていくと仮定していることになります。
言われてみれば、こんな話を大学時代習ったような…?
ここでのポイントは、配当成長率が正しく推定できても割引率によって株価は大きく変わってしまうということ。
故に、理論株価を求めるためにはゴードン成長モデルや簡便法など、複数のモデルを使って総合的に判断するのが重要とのことです。
配当成長率の求め方
配当成長率は、ROE(株主資本収益率)と内部留保率いう指標に依存します。したがって、内部留保率を\(B\)とおくと、配当成長率\(G\)は
$$G=\mathrm{ROE}\times B$$
と表すことができます。
スマートマネーの銘柄選択基準
一言でいえば、理論株価が実際の株価を大きく超えている銘柄(割安な銘柄)を買えばいいのですが、前編で書いたような市場の効率性があるとすると、実際の株価は正しい価値を表していることになり、市場を超えるリターンを得ることは困難です。
本書では、このような状況下で銘柄選択するには、下記のポイントが重要だと述べています。
- 経営者が有能であること、信頼に足ること
- 売上と利益(特にEPS)が過去5年程度成長し、今後数年間持続的成長が見込めること
- 負債が総資産の1/3以下であること
- 株価収益率が過去5年間の平均以下であったり、逆に企業の成長率を大きく超えていないこと(PE/Gレイシオが1.5以下程度であること)
効率的なポートフォリオの組み方
どの銘柄を選ぶかも大事ですが、より大事なのは資産(株式、債券、現金)の配分を考えること。
株式投資だけでは、市場自体のもつリスクは低減できません。
そこで、株式以外に債券を保有することで、株式の持つリスクを抑えることが重要になってきます。
基本的なポイントは、リスクをコントロールするために分散投資をすることだそうです。
どれくらいの期間で戦略を考えるか
経済政策等に大きな変更がなければ、少なくとも3〜5年単位のポートフォリオとなります。
ただ、景気循環を予測して資産配分を変えることで(例えば景気が悪化すると見込んだときは債権の比率を上げる)、投資のパフォーマンスを上げることも重要とのこと。
景気循環を押さえておく
景気は、回復期、好況期、後退期、不況期の4つの局面が循環するような性質があります。この循環が予測できれば投資のリターンを向上させることができます。
逆に最悪なのは、景況感を後追いして投資してしまうこと。こうなると高値で買って安値で売ってしまうことにつながります。
景気循環を予測するための材料としては、下記のような指標があります。
- 鉱工業活動指数
- 貿易統計
- 日銀短観、GDP統計
まとめ
だんだん雑になってしまった感はありますが、本の大筋は書けたと思います。
とりあえず長期投資が大事だというのと、分散投資することでリスク管理するっていうのが大事なのかなと個人的には理解しています。
コメント
本の要約は著作権の侵害にあたる可能性があるので気をつけた方が…
ご指摘ありがとうございます。
そうですね、内容が要約になってしまうといけないのでもう少し簡略化してみます。