今年、育休入ったあたりからちょこちょこ投資関係の本を読んで勉強しています。
コロナ禍やら何やら、物騒なご時世ですからね…
そうでなくても、子供もできたし資産形成についてぼちぼち考えた方がいいよな、と思ったのもあるんですが。
ということで、今回はこんな本を読んでみました。
タイトルからしてなかなか衝撃的ですが、要は長期的な目線での投資術のコツというか、リスクを抑えつつ利益を出していく考え方について書かれています。
けっこう学術的な内容も含まれるので(確率統計の基礎知識くらいは要る)、読み手のハードルとしてはそこまで低くはありませんが、資産運用みたいな大事な話は、これぐらい理論的に解説してくれた方が信頼性がありますね。
というわけで、アウトプットがてら考察を交えて内容の概略を書いていきます。
書いてみたら意外と長くなったので2回にわけて書きます…。
本書のキーワード「スマートマネー」
本文を読んだ中で繰り返し出てきたのがノイズトレーダーとスマートマネーという単語。
話の前提として、
- 株価は、適正株価(ファンダメンタルズ情報で決まる株価)+ノイズ(投資家の感情やニュースなどの影響を受けた変動) で決まるということ
- 短期的な売買ではノイズの影響を受けやすいが、長期的な売買ではファンダメンタルズの影響が大きくなるということ
という2点があり、デイトレーダーのように短期売買をする投資家をノイズトレーダー(ノイズの変動を予測しで売買しようとしているから)、ファンダメンタルズを重視して長期投資を行う投資家をスマートマネーと呼んでいます。
ノイズという表現からうける印象通り、短期の株価変動の予測はとても難しく、短期売買で利益を上げ続けるのは宝くじ並みの確率であるとも書かれています。
よくある株式投資の本では、チャートのパターンやら何やらで株価予想をするテクニカル分析という手法がメインで書かれていたりしますが、この本の考え方によれば、そのような方法で成功し続けるのは至難の業ということになります。
従って、本書の目指すところは、スマートマネーとしての投資術を身につけ、ノイズトレーダーたちをカモにしながら利益を出していくというところにあります。
なぜカモにする、という表現を使っているかというと、ノイズトレーダーがいないと株価に流動性が生まれず、ほとんど変動しなくなってしまうからです。
なので、ノイズトレーダーに株価を変動させてもらいつつ、スマートに投資して利益を挙げるという意味で「カモにする」という表現が使われているものと思います。
株価の決定要因と予測の可能性
株価に影響する要因は、上で書いたように
- ノイズ要因
- ファンダメンタルズ要因
に大別されますが、この本ではファンダメンタルズ要因はさらに企業固有要因、セクター要因、マクロ要因、グローバル要因の4つに分けて考えています。
それぞれがどんな内容なのかは、本書を参照ください。
一般的な株の入門書にある「ファンダメンタルズ解析」の解説でも、似たようなことを書いてました。
ニュースから株価を予測して利益を出せるか?
要因がわかったところで株価の予測は可能か?という話になると、現実問題難しそうです。
実際、業績発表から30分以内に動かなければ殆どリターンは得られないという研究結果があるのこと。
発表から30分以内に情報の中身を精査・判断して売買に反映するのは、特に個人投資家にとっては簡単ではありませんね…
株式市場の効率性と分散投資の重要性
株価の性質を表す概念として、株式市場の効率性というものがあります。株式市場の「効率性」には
- 情報の効率性
- 市場の効率性
という2つの観点があり、超ざっくりいうと前者は株式市場がニュースなどの情報が株価に反映される性質、後者は投資家は市場(の平均)を上回る超過リターンは得られない、という性質です。
結局、市場全体によく分散された投資を行えば(長期的に見れば)市場平均並みのリターンが得られるということであり、持続的に成長している市場であればパッシブ運用することで確実にリターンが得られるということになります。
スマートマネーになるための投資プロセス
最も肝要なところかと思いますが、正直、そんなに難しいことは書いてませんでした。
この本では、投資を下記5つのプロセスで考えます。
- 投資ポリシー設定
- 証券分析
- ポートフォリオ構築
- ポートフォリオ修正
- 投資パフォーマンス評価
スマートマネーはこれらを定期的に繰り返しているとのこと。
まぁでも、ぶっちゃけこれだけ見ると「当たり前では?」という印象なんですよね…PDCAサイクル回します、みたいなもんですよね?
リターンとリスク
ポートフォリオの構築や評価によく使われる概念としてリターン、リスクがあります。
リターンとは「最終的な富-当初の富」であり、収益率はそれを当初の富で割ったものになります。
収益率は、どれだけ投資したかに依存しないので、パフォーマンスの評価に良い指標と考えられます。
リターンが得られる確率は正規分布に従うと仮定すると、リスクはその標準偏差としてかんがえることができます(厳密には収益率の標準偏差)。
正規分布としているので、期待値と標準変動率がわかればリターンの分布がわかり、それによってどれくらいの確率でどれくらいのリターンが得られるのかが評価できます。
期待値や標準偏差は、数年間のリターンのデータから算出するようです。
結局、どのようにリスクを管理するのかがリターンを得る上で重要になってきます。具体的な方法としては下記が挙げられています。
- 長期投資
- 資産配分
- 分散投資
- 銘柄の選択
- 時間分散投資(ドル・コスト平均法)
短期投資や単一銘柄への投資よりは長期投資や分散投資のほうがリスクを低減できますが、それでも市場自体の持つリスクは低減できません。なので資産配分を行い、その分のリスクを低減する必要が出てきます。また、買う銘柄は成長が期待できるものでなければなりません。
ドル・コスト平均法は、タイミングをずらして複数の株を買うことで、同じタイミングで同じ数買うよりもリスクを分散させるという考え方です。
… 結局、長期でインデックス投資して、定期的に買い増すというのが
楽な気がするんですが気のせいでしょうか。。
前編まとめ
結局、ここまでの話を雑に要約すると
- 株価は真の価値+ノイズで決まる
- 短期ではノイズの影響が大きい
- ノイズの推定は困難なため、短期投資で利益を狙うのは至難
- 長期投資と分散投資などを組み合わせてリスク管理をしていくのがカギ
といったところでしょうか。
後ろの章で、具体的な評価基準とか手法について書いていたので、後編はより実践的な内容になると思います。
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