トランスミッションってどんな部品?役割から構造までざっくり解説

クルマ
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現在、私は主に自動車のトランスミッション(変速機)に関する仕事をしています。

で、色んな人からよく聞かれるのが

トランスミッションってそもそも何?

という質問。確かに、オートマとかミッションとか単語は聞くけど、
イマイチどんな役割の部品なのか分からないという人は多いと思います。

でも、トランスミッション(変速機)が無いとクルマ(特にガソリン車)はまともに走れないんです。

ということで、今回は自動車のトランスミッション(変速機)についてなるべくわかりやすく書いてみたいと思います。

トランスミッションの役割とは

ずばり、トランスミッションの役割とは何かという話なんですが、逆に、トランスミッションが無いとどうなるのか書いてみます。

  • バックできない
  • 坂道で駐車できない
  • 発進できない
  • 速く走れない
  • 静かに走れない

…どうでしょう、かなり困りますね。そもそも発進出来なかったらクルマとして成立してないじゃん、っていう。

ということで、上の項目と照らし合わせてトランスミッションの役割をひとつずつ見ていきましょう。

前進後進を切り替える

まず、上で述べた項目に「バックできない」があるように、
トランスミッションは前進/後進を切り替える役割をもっています。

シフトレバー(最近はボタンやダイヤル式のもあるみたいですが)でDやRに操作すると、
それに応じてトランスミッションが前進または後進できるようにギヤを切り替えます。

確実に駐車する

上で「坂道で駐車できない」と書いたのは、トランスミッションはシフトレバーをPに入れることで回転をロックする機能を持っているからです。

この機能が無いと、坂道で駐車しようとしてもクルマがどんどん下っていってしまいます。。

もちろん、駐車時は上記のパーキング機能に加え、車輪に対してサイドブレーキを併用してかけることでより確実に回転をロックしているしているわけですが、パーキング機構が壊れたために車が動き出してしまうという事例もあったようです…恐ろしい。

エンジンやモータのトルクを増幅する

トランスミッションには、エンジンやモーターで発生した駆動力(トルク)を増幅してタイヤに伝えるという役割もあります。

特にクルマの発進時には大きな駆動力が必要になるので、エンジンで発生した駆動力を増幅させなければ素早く発進できないか、下手するとエンストしてしまい発進すらできません。

速いスピードで車両を走らせる

トランスミッションがない場合、例えばエンジンが3000rpm(1分間に3000回転)の速さで回転していたとすると、タイヤも同じ速さで回転することになります。(厳密にはディファレンシャルギヤとかが存在するため必ずしも同じ回転にはなりませんが、簡単のため同じ速さとして考えます)

エンジンの回転数には限界があるので、仮に最大回転数が7000rpmだとすると、タイヤの回転もそれが上限になってしまい、それ以上のスピードで走ることができません。

変速機はエンジン回転数とタイヤの回転数の比率を変える(変速させる)ことができるので、例えばエンジン回転数が3000rpmであるときにタイヤの回転数を7000rpmにすることができます。一般に、高いギヤ段ほど同じエンジン回転数に対するタイヤの回転数が大きくなるので、高いギヤ段ほど速いスピードで走ることができます。

つまり、トランスミッションがないとエンジン回転数でクルマの速さが決まってしまいますが、トランスミッションがあると同じエンジンでもより速いスピードで走れることになるのです。

静かに走行する

同じエンジン回転数に対して速いスピードで走行させられる、というのを逆の観点で見ると、同じスピードでも低いエンジン回転数で走行できるということもいえます。

一般に、エンジン回転数が高くなるとそれに伴って発生する音も大きくなるので、低回転でスピードを出せるということは、より静かに走行できるということになります

トランスミッションの役割まとめ

以上をまとめると、トランスミッションの主な役割は次のようになります。

  • 前進、後進を切り替える
  • 駐車時に回転をロックする
  • エンジンやモーターの力を増幅してタイヤに伝える
  • 高いギヤ段に変速することでより速いスピードで走行する
  • 高いギヤ段に変速することで、より静かに走行する

トランスミッションの種類

トランスミッションにはいくつか種類がありますが、すごく大きなくくりでいうと

  • オートマチックトランスミッション(AT、いわゆるオートマ)
  • マニュアルトランスミッション(MT、いわゆるミッション)

の2つに大別されます。運転免許にもAT限定があるので、この分類は知っている方も多いと思います。

ここで、ATの中でも構造によってさらに下記のように分けられます。

  • トルコン付AT
  • AMT
  • DCT
  • CVT

DCTは欧州車とか、日本だとホンダ製の自動車によく搭載されています。

国産の車に多いのはトルコン付きATCVTですかね。
街で見かける車の半分くらいはCVTが載ってるんじゃないでしょうか。

なかなかマニアックな話になってきましたが、詳しくは次のところでお話しします。

要はトランスミッションにもいっぱい種類があるんだな〜って思ってもらえればいいです。

トランスミッションの構造

トランスミッションにもいろいろ種類があるって話をしましたが、構造にどんな違いがあるのか、それぞれにどんな特徴があるのか簡単に書いていこうと思います。

トルコン付AT

引用元URL: https://www.aisin-aw.co.jp/products/drivetrain/lineup/at.html

一般的なオートマはこのタイプ。クラッチが何種類かあって、掴むクラッチの組み合わせを変えることでギヤ段を変えていきます

昔は4速や6速のものが多かったですが、最近では8速や10速のものも出てきています。

発進がスムーズに行えたり、変速する時にショックを出さないよう制御できる半面、変速にかかる時間が長くなったり、低車速だと燃費が悪くなりやすいという弱点もあります。(なぜそうなるかはとてもマニアックな話になるので別の機会に)

AMT

Automated Manual Transmission の略。直訳すると”自動化された手動変速機”。

要はマニュアルトランスミッションの構造そのままで、ギヤの切り替えを手動でなく自動で行うというもの。最近はDCTのほうが主流なのであまり見られなくなってきています。なので画像も割愛。笑

DCT

引用元URL:https://www.honda.co.jp/tech/motor/item-dct/

Dual Clutch Transmission の略。

構造的にはマニュアルトランスミッションを2つ並べた感じで、

  • 奇数ギヤ段を作る軸(A)
  • 偶数ギヤ段を作る軸(B)

とがあって、それぞれにクラッチがついています。

そして、例えばどんどんギヤ段を上げていきたいなら、つなぐクラッチをA→B→A→Bと切り替えていけばいいわけです。

クラッチをパッと切り替えるだけで変速できるので変速にかかる時間が短く、またエネルギーの伝達効率もいいので燃費もよいっていうのが利点です。

その一方で、ギヤ段を切り替えるときや発進時にギクシャクしやすいといったデメリットもあります。最近の車ではだいぶ改善されている気はしますが。

ちなみに画像引用元でもそうですが、最近では大型の二輪車にも使われるようになってきました。(原付などスクーターにはCVTが使われてます)

CVT

引用元URL: https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/cvt.html

Continuously Variable Transmission の略。直訳すると”連続可変変速機”ですが、言葉だけ聞いても何それ…って感じですよね。

今まで述べたのはギヤ段が有限個ある変速機でしたが、CVTにはギヤ段という概念がありません。強いて言うなら、ギヤ段が無限に細かくあって常に変速しているイメージです。下記にベルト式のCVT の例を示します。

引用元URL: https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-cvt/

プーリーを閉じたり開いたりっていうのをやることで回転する半径を変える=回転数を変えることで変速しています。

メリットしては、スムーズに走行できること、常にエンジンを効率のいい回転数にキープできるため燃費がいいということ。逆にデメリットは、特にベルト式のような構造はエネルギーの伝達効率が悪いため、高速で走り続けるほど燃費が悪化するということ、耐久性の面からトラックのような高パワーのエンジンには対応しにくいことです。


以上を踏まえ、それぞれのメリット、デメリットをざっくりまとめると下記のような感じになります。

変速機種類  メリット デメリット
トルコン付AT スムーズな走行ができる 変速時間が長い
低速では燃費が悪い
AMT 燃費が良い 低速でギクシャクしやすい
DCT 変速時間が短い
燃費が良い
低速でギクシャクしやすい
CVT スムーズな走行ができる
街乗りでは燃費がいい
高速では燃費が悪い

ちなみにマニュアルトランスミッションは構造上DCTに近いので、同じようなことが言えると思います。

まとめ

自動車のトランスミッション(変速機)に関して、

  • どんな役割の部品なのか
  • どんな種類の物があるのか
  • どういう構造をしているのか

について書きました。

思いつくままにバーっと書いてしまったのですが、いかがでしたでしょうか…トランスミッションってどういうものなのかが少しでもわかってもらえると嬉しいです。。

時間があれば、もう少し詳しい話でも書こうかと思います。

それにしても、WordPressのブログってスマホから書くとけっこう大変ですね…htmlのコード書くのがやりにくい。。初心者なのでよくわかっていない部分もあるのですが、もっとやりやすいアプリとか方法あればどなたか教えてください。。

改めて読み返したところ、大変見にくかったのでPCから修正しました。。

とはいえ、客観的にみてわかりにくい点などあれば修正したいので、
ご指摘等あれば遠慮なくコメントいただきたいです。

 

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