市場に出回っているクルマの多くはガソリン車またはハイブリッド車ですが、どちらもエンジンの力を使って走っています。
そして、エンジンと一口に行っても、色んな種類があるのをご存知でしょうか?直6とか、V6とか、水平対向とか、単語自体は見聞きしたことがある人も多いはず。
エンジンの種類によって、構造はもちろんですが乗り心地に影響する特徴もあるので、正直あんまりエンジンに興味がないという人でも、それぞれの特徴があるのか押さえておくとクルマ選びの参考になると思います。
ということで、今回は
- エンジンの種類としてどんなものがあるか
- 乗り心地にどう影響してくるか
ということについて書いていこうと思います。
エンジンの分類
自動車に搭載されているエンジンは、構造と燃料によって下記のように分類されます。
構造による分類
レシプロエンジン
自動車に搭載されている多くのエンジンはこのタイプになります。
原理は、下図のように、シリンダ内で燃料を爆発させて起きるピストンの直線運動を回転運動に変換しています。

引用元URL:https://rentacar.carlifestadium.com/blog/trivia/138/
シリンダの配列の仕方には色々とタイプがあって、それによって特性が変わってきます。
直列型エンジン
引用元URL: https://motor-fan.jp/tech/10005294
地面に対して鉛直に、シリンダを直列に配置したタイプ。直4とか直6と呼ばれるのもこのタイプです。
構造的に比較的単純であることから生産コストも低く、メンテナンスもしやすいという利点があります。
一方で、シリンダの数が増えるほど場所を取るので搭載性が悪くなるのと、シリンダの数が少ないと振動が発生しやすいため乗り心地に悪影響を与えやすいというデメリットがあります。

振動に関しては、クルマよりバイクが顕著だと思います。
とはいえ、振動を抑制するための機構や制御もあるので、直列型だからといって必ずしも乗り心地が悪いわけではありません。BMWなど高級車に直6が採用されることも多く、その乗り心地には定評があります。
水平対向エンジン

引用元URL:https://www.subaru.jp/brand/technology/technology/driving_boxer.html
通称ボクサーエンジン。主にスバルが用いているエンジンで、シリンダを水平に配置したタイプです。
構造上、ピストン運動により発生する慣性力を対向するシリンダで打ち消せるようになっているため制振性に優れており、かつ、エンジン単体での重心を低くできるというメリットがあります。
なので、水平対抗エンジンを積んだクルマは、静粛性と安定性を確保しやすくなります。
一方で、横幅が広くなってしまうため小回りが効くクルマには搭載しにくかったり、構造的にメンテナンスがしにくいというデメリットもあります。なので、メンテナンスに関しては正規ディーラーに任せるのが無難でしょう。
V型エンジン

引用元URL:https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/v6-engine/
シリンダをV字型に配置したタイプ。直列同様、数多くの車に採用されています。
気筒数が多いほど直列型よりもコンパクトにすることができるため、V6やV8のように、シリンダの数が多いパワフルな性能を求められるエンジンに用いられることが多いです。
反面、直列型より複雑な構造となるため、レイアウトによってはメンテナンスが難しくなることもあります。
ロータリーエンジン

引用元URL:https://motor-fan.jp/article/10014387
直線運動を回転に変換するレシプロエンジンとは違い、爆発でロータを直接回転させる方式のエンジンです。
下記の動画の5:30~あたりを見ると、動作原理がわかりやすいと思います。
マツダがかつて販売していたRX-8など一部の車種に搭載されていましたが、現行の車種には搭載例はありません。
メリットはコンパクトかつ軽量、高出力かつ静粛性に優れるという、一見すると完璧なエンジンに見えます。
しかしながらデメリットも大きく、燃費効率が悪い、低回転域でのトルクが低くレスポンスも遅いという特性があります。
なので、街中を走る大衆車には適しにくい (そうでなくても燃費規制の厳しいこのご時世には適さない) という点で実用化が難しいものと思われます。
自動車に適さないというだけで、それ以外では実用例があるみたいですけどね。
燃料による分類
ガソリンエンジン
もっとも馴染み深いのはこちらでしょう。レギュラーとかハイオクで走るエンジンです。
通常のガソリンエンジンの場合、エンジンのシリンダ内に燃料を噴射し、そこに着火して爆発させ回転させるという過程で燃焼させます。
一般的な特性として、後述するディーゼルエンジンよりも高回転で高トルクを出す傾向があります。
ディーゼルエンジン
軽油を燃料としたエンジンです。ガソリンよりも燃料費が安く済むということで検討される方も多いと思います。
ディーゼルはガソリンエンジンとは違い、シリンダ内で空気を圧縮することで着火させます。

引用元URL: https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-dieselcar-merit-demerit/
ガソリンエンジンよりも燃費がよく、低回転域で高いトルクを出せるため加速性がいいのが特徴です。
一方で高回転域のトルクはガソリンエンジンに劣り、メンテナンスの費用もガソリンエンジンより高くなるというデメリットもあります。車両価格も、ディーゼル車はガソリン車と比べ高めです。一長一短という感じですね。
まとめ
ここまで書いたことを一覧表にまとめてみました。
エンジンの種類と主な搭載車種 | 燃料 | ||||
ガソリン | ディーゼル | ||||
特徴 |
高回転で高トルク 低回転△ メンテナンス費用○ |
低回転で高トルク 高回転△ 燃費○ メンテナンス費用△ |
|||
構造 | レシプロエンジン | 直列型 | メンテナンス性◎ 気筒数少ないほど静粛性△ 気筒数多いほどサイズ△ |
トヨタ クラウン BMW 3シリーズ など |
BMW3シリーズ マツダ車全般 など |
V型 | 気筒数が多いほどサイズ○ メンテナンス性△ |
トヨタ アルファード トヨタ センチュリーなど |
レンジローバー アウディ Q5 など |
||
水平対向 | 静粛性◎ 横幅△ メンテナンス性△ |
スバル車全般(OEM除く) | 現行車種では無し | ||
ロータリーエンジン | 軽量 コンパクト 高出力 燃費× 低回転域× |
現行車種では無し | 現行車種では無し |
総じて言えることは、どのエンジンにも一長一短あり、基本的にはそれぞれの長所が活かせるような車種に搭載されています。
ただ、同じ車種でもグレード違いで別エンジンが載っている場合もあるので、その際は参考にしてみてください。
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